使い方
よくQ&Aサイトなどで「水草(グロッソスティグマ・ショートヘアーグラス・ラージパールグラス・アヌビアスナナ・ミクロソリウム・etc...)を育てるにはこの照明器具で行けますか?」みたいな質問を見るので、水草水槽で必要な光量(照明のワット数)を計算するために作りました。
使い方は、水槽のサイズと底床の厚さ、水草の種類を選ぶと、水草の育成に適正な照明のワット数を計算・表示します。
ページ後半に計算方法の解説とコケ対策情報を掲載しておきます。参考になれば幸いです。
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条件設定
水槽タイプ
選択すると以下の入力欄に自動入力されます。下の入力欄に直接記入してもOKです。
底床の厚さ
水草水槽の場合、底床は5cm以上をお勧めします。
メインの水草の種類
結果
アクアリウムにおける照明の運用について
色々な運用を試してみて、現時点で個人的に注意していることを書いておきます。(あくまで個人的な見解なので諸説あると思います。)
照明の強さは、強すぎても弱すぎてもダメだと思います。照明が弱すぎると水草が育たないし、照明が強すぎるとスポット状の緑色のコケが生えるからです。
もし、照明器具が強すぎる場合は、照明の位置を高くします。照明器具を水槽上部から水槽の高さと同じだけ離すと、約半分くらいの光量になります。(例:60センチ水槽(高さ36cm-底床5cm=31cm)では、合計100ワットの照明を水槽上部からさらに31cm離すと(水槽底面からだと36cm+31cm=67cmだと)100÷2=50ワットの照明と同等になります。)
コケ対策の基本
ここでは、個人的にいろいろ試して効果のあった、照明にまつわるコケ対策を書いておきます。(あくまで個人的な経験によるものです。)
最強のコケ対策=「持ち込まない」その1:リセット時は、水槽・ろ過機をブラシなどでしっかり洗った後、10%のハイターに5分以上つけることで対応できます。また、ネットやピンセット経由でもコケが混入するので、同様にハイターで殺菌することをお勧めします。ハイターの中和は、器具を水で良く洗った後でハイポ(カルキ抜き)を溶かした水ですすぐと中和できます。
最強のコケ対策=「持ち込まない」その2:コケの侵入経路で多いのが水草経由と底床経由です。水草は「組織培養」の水草を使うと混入を防げます。また、底床は必ず新品を使うようにすると混入を防げます。
照明は「1日6時間・多くても8時間以内」とし、「強光を短時間(あとは真っ暗)」を心掛けてください。消灯中はカバーをするなどして真っ暗にしてください。(底床や生体数に問題が無いのになぜかコケまみれになる場合はこれが原因だったりします。)弱い光を長時間当てたり、消灯中に薄暗いと水草が育たずコケばっかり育ちます…。
「土中は富栄養・水中は貧栄養」を心掛けてください。(ADA式。)コケが生える大きな原因の一つは、土中の肥料や栄養が水中に出ているからです。(栄養を多く含むソイルや軽石・肥料などの栄養層(3cmくらい)を、吸着系ソイルなどで蓋(2cm以上)をするイメージです。なので結局は、底床にはどうしても5センチ以上の厚さが必要になってきます。)
あと、時々「水草を元気にして、水草を有利に・コケを不利にしていきましょう」とか言う話がありますが、初心者や各種試験薬・CO2チェッカーなどが無い状態だと、ハッキリ言って水草の育つ条件とコケの育つ条件は区別がつきません。「水草とコケが増える条件は同じ」くらいに思った方が良いと思います。なので、個人的には「水草優位になるようにしよう」とか考えずに、「持ち込まないことに全力を出した方が良い」と思っています。
コケが出てしまった時の対策
緑色~茶色の糸状のコケ(綿状/糸状)対策:これは対策がはっきりしています。ヤマトヌマエビの大量投入(30cm水槽なら30匹、60cm水槽なら60匹程度)&完全遮光を1週間行ってください。また、CO2濃度を高くすると弱体化できます。
緑色のスポット状のコケ対策:光が強すぎる場合が多いです。出てしまったスポット状コケは消えないので綺麗に掃除して、照明の明るさを3割ほど落とすか、照明の高さを上げるのが効果的だと思います。
サンゴ状のコケ対策:個人的にはこのコケが一番厄介で、克服した経験がありません。サンゴ状のコケは、水草が育つ条件と近い条件で大繁殖し、CO2濃度が高くても弱体化が難しいです。水槽をリセットして混入しないように気を付けるしか今のところ方法が無いように思います…
黒髭ゴケ対策:「リン酸が原因」という話を他のサイトでは見ますが、リン酸濃度を実際に測ってみると、ほぼ0ppmでも黒ひげゴケは発生します。原因の多くは「不安定なCO2濃度」と「底床内・ろ過器内の有機廃棄物が溜まりすぎている」が原因のことが多い気がします。(セットして1週間~数週間で発生した場合は、底床づくりに失敗しています。)CO2の供給量を増やして、低床や濾過の掃除をしてみて、それでもダメなら水槽(底床)のリセットが必要です。
植物の元気さとコケ対策について
水槽内の環境が良くて、植物が元気だとコケは生えなくなります。私の水槽で最も上手くいっている水槽では、一時的にコケが生えても、植物が元気になるとやがて白くなって枯れていきます。初めてこの現象に出会ったときは、全く考えられなかった現象で、とても驚きました。
植物を元気にするには、適切な濃度の栄養補給が必要で、例えば「NO2は10ppm、PO3は0.1ppm…」というように、水槽ごとに適切な元素濃度があります。
新芽が白い:窒素不足が考えられます。窒素濃度1ppm~10ppmを目標に、窒素液体肥料の添加をお勧めします。
新芽がちじれる:最も多いパターンはカリウム過剰です。(カリウム・カルシウム・マグネシウムがお互いに拮抗しているときに、カリウム肥料を与えすぎて他の栄養吸収が阻害されている状態です。水替えをしてカリウム濃度を下げて、窒素肥料やミネラル肥料(活性剤)などを与えてバランスを取ってください。
下葉(旧葉)が白くなる:ミネラルかリン酸が不足しています。水槽内に石を入れている場合→カルシウム不足よりむしろカルシウム過剰になりやすく、CO2が効きにくく、マグネシウムが不足しがちなので、CO2の添加量を増やして、マグネシウム肥料の添加をしてください。水槽内に石がなく、植物がすごく多くて、魚が少ない(60cm水槽に小型魚が3匹とか)の場合は、カルシウムかマグネシウムが不足している可能性が大きいのでミネラル肥料の添加を検討してみてください。
計算方法(なぜ光量をリッター当たりのワット数で決めるとうまくいくのか)
計算方法は、水槽1リットル当たりのワット数を基準に計算しています。前景草の場合、蛍光灯基準で2.0W/Lが基本です。
水槽の面積当たりの光の量を考えると、光の総量は、電力(ワット数)に変換率(固定値)をかけた量になります。
[総光量]=[変換率]×[ワット数]…(1)
しかし、光は拡散するので、面積当たりの光は、面積が大きいほど、高さが高いほど少なくなります。
[面積当たりの光量]=[総光量]÷[面積]÷[高さ]…(2)
(2)に(1)を代入すると…
[面積当たりの光量]
=[変換率]×[ワット数]÷[面積]÷[高さ]
=[変換率]×[ワット数]÷([面積]×[高さ])…(3)
ところで、(3)で、[面積]×[高さ]=[体積]なので…
[面積当たりの光量]=[変換率]×[ワット数]÷[体積]…(4)
(4)の式を変形すると…
[ワット数]÷
=[体積]×[面積当たりの光量]÷[変換率]…(5)
ここで、[体積]は水槽から求めることができます。[面積当たりの光量]は育成する水草によって経験的に決まります。[変換率]は照明器具によって固定なので、これらの値が分かれば、必要なワット数を求めることができます。
蛍光灯とLEDを変換する場合については、蛍光灯は光が360度に拡散するのに対して、LEDの場合は120度程度にしか拡散しません。なので、力率が同じならLEDのほうが360÷120=3倍効率が良いことになります。(逆に言えば3分の1のワット数で十分だということになります。)
もちろん、LEDで電力を光に変換する効率が良くなれば、さらに少ないワット数で足りることになります。このページでは力率50%程度の一般的なアクアリウム用のLED照明を想定して計算していますが、最近出てきた力率95%のLED照明についても計算しています。
更新履歴
2022年08月31日:文章を追加
2021年02月12日:文章を更新
2018年08月19日:バグがあったので修正・文章をリライト
2018年08月06日:作成
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株式会社オハナシヤ担当:津田 seijitanp@gmail.com